「負荷70%」と「インターバル」が継続のカギ。
通勤で自転車を使うと坂道や信号待ちなどで、実はストップアンドゴーを繰り返すインターバル運動のようになっています。自転車運動にもつながっているインターバル運動の話を「速歩」を通じて見ていきましょう。

若返りが期待できる「インターバル速歩」
「インターバル速歩」は信州大学大学院の能勢博教授が提唱している筋力向上のための運動です。能勢教授によると、5,400名ほどの被験者によるインターバル速歩の実験によって、最大で体力が20%向上し、高血圧や高血糖など肥満の症状が20%改善、そして20歳ほど若返った気分になり、医療費も20%削減できたという結果が出ており、これを「20%の法則」と呼んでいます。
とっても簡単なインターバル速歩
ややきついと感じる速歩3分とゆっくり歩き3分を交互に繰り返す運動を1日30分行います。これを週4日の頻度で、4ヶ月ほど継続すれば脚やお尻まわりがスッキリしたように感じられるはずです。能勢教授の調査によると、肥満傾向の人なら2週間程度で体重が1kg程度減少しはじめ、1~2ヶ月もすれば体調の良さや身体が軽くなったと感じられるようです。
インターバル速歩のコツ
提唱されているのは、自分の最大体力70%以上の負荷になる歩き方です。自分がもう限界だと感じるMAXの体力が100%として、その7割程度のキツさで歩くのが速歩です。ただ自分ではわからないと思うので、普段歩きよりも歩幅を広めにとり、サッサッサッとリズミカルにいつもよりもやや速いと感じるペースで歩きます。3分歩くと息がはずみ、5~10分で少し汗ばんで、10~20分歩くとスネや太ももに軽い筋肉痛を感じるくらいが、70%程度の負荷と同等になる目安です。
普通のウォーキングとの違い
長野県の中高年者を対象に、1日1万歩を普通に歩くグループとインターバル速歩を行うグループに分けて5ヵ月間経過を観察した結果、同じ歩数でも単位時間当たりの歩行中のカロリー消費量はインターバル速歩グループの方が高く、インターバル速歩のグループでのみ、膝の伸展筋力や屈曲筋力、心肺機能も向上するなど総合的に元気になり、体力の向上がみられました。
ただ歩くだけではダメ
1日1万歩、ただぶらぶら歩いているだけではほとんど体力は変わりません。しかし少し負荷のある運動を加えることで、筋力が高まり、持久力がつきます。つまりは体力が上がって健康な状態へと目に見えて変化していくのです。ちなみに速歩だけを連続で15分以上取り入れてもらう実験では、これは「しんどい」「おもしろくない」という理由で継続できませんでした。運動を習慣化するにはこの「おもしろさ」も必要です。インターバル速歩ならゆっくり歩きを挟むことでツラさが軽減され、3分間ごとに変化を付けることによって飽きにくくなります。さらに、日々何らかの効果を感じられることはもちろん、ライバルと競ってみる、仲間に褒めてもらうなどによって、「おもしろさ」を高めていけるでしょう。
最大酸素摂取量が増加
負荷のある歩行運動は脚の筋力アップだけでなく、全身持久力つまりは体力の向上に効果的な運動です。そのため少し速い歩行を取り入れるインターバル速歩は、通常の歩行以上に効果的に体力、心肺機能を向上させる運動トレーニングになっています。人の筋肉の60%は下半身が占めています。 特に脚の筋肉は心臓から送り出され全身に行き渡った血液をまた心臓に送り返す、いわばポンプのような働きを持っており”第二の心臓”とも言われています。したがって脚の筋肉を鍛えることは、より多くの血液を心臓に送り返すことにつながり、心臓はそれを受けて酸素を含む血液をより多く全身に送り出すことができます。 体力の指標として最大酸素摂取量(1分間にどれだけ多くの酸素を体内に取り込めるか)がありますが、インターバル速歩を行うことでこの最大酸素摂取量が増加することが確認されています。
筋肉痛こそ筋力UPの証
速歩を続けていると、太ももやスネに筋肉痛を感じる人が多いのですが、この筋肉痛は、筋線維が傷んで炎症を起こしていることで起こります。 そしてこの傷んだ筋線維を修復するためにアミノ酸を取り込もうとします。その際にちょっと余分にアミノ酸を取り込んで筋肉の修復とともに発達を促します。 筋肉痛はいわゆる乳酸が出るレベルの少し強い運動によって引き起こされます。つまり、乳酸が出るほどの少しキツイ運動を取り入れなければ、筋肉はほとんど発達しないのです。
自転車にも置き換えられるインターバル速歩
自転車を通勤など日常使いしていると、上り坂や信号待ちのストップアンドゴーなどで、自然とインターバル速歩のような強弱の付いた運動になります。これを利用して「キツイ」と感じるレベルの運動をどれだけ実践できるかが重要です。自転車だとまず坂道を上がるのが負荷を得られる一番の方法でしょう。 上り坂で少し頑張ってペダルをこぎ、平地や下り坂ではペースを落として足を止めて休みます。スピードやギアを調整して、自分にとっての負荷をコントロールしても良いでしょう。
はじめやすいのは自転車

自転車運動は体重の多くをサドルに預けるので、体重による負担はウォーキングよりも少ない運動です。肥満傾向にある人や、腰やひざなど関節に痛みを抱えている人にとっては、自転車の方が始めやすいかもしれません。脚の筋力をつけて心肺機能を上げ、さらに持久力やパワーをつけていくと、速歩と同様に「20%の法則」を生み出せる可能性があります。
インターバル速歩を行った人たちからは、「お腹がへこんだ」「ヒップが上がって脚もスリムになった」「血圧が下がった」「身体が軽い」と喜びの声があがっています。 運動の効果を感じることは継続のモチベーションになるだけでなく、自分に自信を与え、社会参加にも積極的になれます。 つまり、人生の好スパイラルを生み出すのです。早い段階から積極的に行うことが重要なので、体力の衰えを実感しにくい30代から実践することがおすすめです。

自分に少し負荷をかける継続的な運動がアンチエイジングにつながります。「ちょっぴり頑張る」ことを意識して、豊かな人生につなげていきましょう。
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