自転車を使ったスポーツ・趣味といえば、ピッチリとしたウェアを着込み、車道を車に負けないスピードで走るといったストイックなイメージがあるかもしれません。しかし今回紹介する散走は、四季折々の風景を楽しみ、写真を撮ったり、美味しいカフェでスイーツを味わったりする、新しい自転車の楽しみ方です。

散走とは?

散走は、自転車で散歩するという意味合いで使われています。これまで、ロングライドやヒルクライムといった本格的なサイクリングを表す言葉はありましたが、のんびり、ゆったり、まるで散歩のように、自分の好きなペースで寄り道をしながら自転車に乗ることを散走と呼んでいます。同じような言葉に「ポタリング」というものもありますね。

散走とサイクリングの違い

サイクリングとは、さまざまな自転車の乗り方を総称した言葉です。サイクリングに含まれるものとしてはロングライド(長距離を走る)、ヒルクライム(丘陵地帯や山岳地帯の上り坂を走る)、ツーリング(自転車旅行)などがあります。
使用する自転車にもこだわり、数十万円するフレーム(本体)に、自分が望むパーツを集めて調整・組み立てをする人もいます。専用のウェアやヘルメットなどもあります。

対して、散走とは、あくまでも自転車を使って「散歩」をすることが目的であって、その移動手段として徒歩ではなく自転車を使う、というと分かりやすいでしょう。

お休みの日、天気の良い日に気持ちよくのんびりと自転車に乗って散策し、気になるカフェでスイーツを楽しんだり、美味しいと噂のパン屋に立ち寄ったりと、カジュアルに楽しめるのが最大の特徴です。このように自転車以外の「何か」を楽しむことを目的にしているのが散走ですね。

自転車散歩におすすめの外出先は?散走を楽しむアイデア集

自転車での散歩、散走を楽しむためには、基本となるいくつかのプランがあります。もちろん、目的地も定めず、気の向くまま散策するのが散走の醍醐味ですので、決してルートを指定するといったものではありません。
散走にはこういった楽しみ方があるのだな、と気付くようなヒントをご紹介します。

四季折々の自然や名所に触れる

春であれば桜並木を、夏であれば朝夕の涼みを兼ねて朝焼けや夕焼けを楽しみ、秋には落ち葉や紅葉を見ながらゆっくり、ゆっくりと自転車を漕ぎましょう。冬でも昼間には太陽が出て、心地よい気温になります。特に自転車を漕いでいると運動で身体から熱が発生するので、冬でも暖かい時間帯であれば快適に散走できます。
ゆっくりと進むので、道端に生えている四季折々の花や植物などを見逃すことはなく、鳥の鳴き声も楽しめます。
近くに寺社仏閣・旧跡などがあれば、普段とは違った荘厳な雰囲気や歴史を感じられるでしょう。散走ならではの「ゆっくり」をじっくりと楽しんでください。

気になるグルメを楽しむ散走

テレビで紹介されるような有名店だけではなく、自宅周辺でも口コミで話題の名店はたくさんあるはずです。
知っていてもなかなか行く機会がない場合は、散走の目的地にしてしまいましょう。散走のメリットは、単に散走とグルメを兼ねられるだけではありません。身体を動かしているので、その分食事がとても美味しく感じられるのです。身体をしっかり動かすからこそ、美味しいものをより味わい深く食べられます。自動車や公共交通機関を使った旅では得られない体験ができるのです。

趣味に合わせて都心の街ブラを楽しむ

散走なら東京都心のような市街地でも楽しめます。ただし、歩行者が多いので安全には注意を払いましょう。公共交通機関だとどうしても駅周辺の散策になりがちですが、自転車なら普段いけない穴場スポットにも足を延ばせます。遠いと思っていた場所が、「自転車なら意外に簡単にアクセスできた」なんていう発見もあるはずです。散走の楽しみ方の幅はとても広いのです。

散走にはどんなタイプの自転車がおすすめ?

マイペースに楽しめる散走には、どのようなタイプの自転車が適しているのでしょうか?結論から述べると、どの自転車でも問題ありません。いわゆる「ママチャリ」と呼ばれるようなシティサイクルでも、散走は可能です。

散走に適した姿勢を保てるか

散走はスピードを出さず、ゆったりと自転車を漕ぐ時間が多いです。前述のように、どんな自転車でも構いませんが、散走用途を重視するなら、走行性能よりも乗る時の姿勢が楽であることが大事です。つまり、自然や街の風景を楽しむためには、前傾姿勢になってしまう車体よりも、上体を起こして乗車できる自転車が向いています。ゆっくりと走ることを大切にしているため、視線が上がり、視界が広がる自転車がおすすめです。

駐輪、移動時の便宜性

カフェなどのスポットに立ち寄ったり、写真をとったりと、立ち止まる機会が増える(むしろ自転車に乗らない時間を大切にする!)のが散走の特徴のひとつです。スポーツバイクにはスタンドがついていないものも多くありますが、散走に使う自転車はスタンドが付いていて、いつでも駐輪できることがポイントです。

シェアサイクル・レンタサイクル利用もおすすめ!

近年では、首都圏や観光が盛んな地方都市を中心に、シェアサイクルサービスが普及しつつあります。
特別な自転車を用意せずとも気軽に旅先で散走が楽しめるのです。あえて自分で自転車を購入せず、メンテナンス費用などの負担をなくし、シェアサイクル・レンタサイクルを利用するというスタイルもオススメです。

ひとりを楽しむことができる「散走」

昨年からは新型コロナウイルスの影響で、大勢で集まって行うアクティビティがなかなかできない世の中になっています。しかし「散走」なら思い立ったらすぐに、ひとりでも始めることができ、またやめるときも自由です。一人の時間をじっくりと楽しむことができるのも、散走の醍醐味です。天気が良く気持ちのいい日には、心を開放して、散走してみてはいかがでしょうか。

マインドスイッチでは、自転車や自転車通勤による健康的で豊かなくらしを実現するための情報をこれからも皆様にお届けしてまいります。