「自転車」対「クルマ」の事故の多くは交差点

自転車通勤を始める上で、最も大切なことは、自身の安全です。
自転車は、道交法上は、軽車両に分類されるので車道の左側走行が原則になります。なので守らなければならないのは、もちろんなのですが、実は、車道の左側を走行することは、交通事故リスクを軽減することにつながります。

まず前提として知っていただきたいのが、自転車事故で最も多いのは、道路上ではなく、交差点だということ。

警察庁のデータによると、出会い頭の衝突死亡事故の形態別事故件数では、「自動車×自転車」の事故が全体の約42%。
そのうち、交差点の事故が約81%、残りの約19%が交差点以外での事故になります。
つまり交差点で細心の注意を払って走行することができれば、約8割の事故は防げる可能性があるということなのです。

出会い頭衝突死亡事故の当事者別・形態別事故件数比較

では、事故の多い交差点のタイプ別に、注意点を考えてみましょう。 特に事故が多い交差点のタイプは、以下の3つです。

事故の多い交差点のタイプ

細街路の交差点 いわゆる信号のない比較的細い道の交差点です。
細街路の交差点は、信号がないので当然出会い頭の事故が多くなります。道幅も細いため対クルマだけでなく、対自転車や対歩行者との衝突にも十分気を付けましょう。事故を防ぐには、しっかり速度を落とし、左右の確認を十分に行うことがポイントになります。

脇道の交差点 脇道から幹線道路に出る部分の交差点です。
脇道の交差点においては、特に自転車が幹線道路側を走っているときに起きやすくなります。その中でも最も事故になりやすいのが、自転車が幹線道路側の歩道を走行しているときです。つまり、突然脇道から出てくるクルマとの出会い頭の事故が起きやすくなるのです。車道の左側を走行する自転車での事故が少ないことから見ても、車道を走行するだけで、事故を大幅に軽減することができます。自転車で脇道を走行し、幹線道路に出る場合は、十分に速度を落とし、クルマや歩行者だけでなく歩道を走行する自転車もいることに注意し、事故を未然に防ぐようにしましょう。

脇道の交差点 幹線道路同士の大きな交差点です。
幹線道路の交差点では、右左折してくるクルマに注意を向けることがポイントになります。
自転車で右折する場合は、2段階右折(自転車は、信号のある交差点では2段階右折)となります。もし車道の一番左の車線が左折専用レーンになっていても、そのまま直進しても構いませんが、その際は、左折レーンを走行するクルマに注意を払い、巻き込まれないように十分注意しましょう。

「自転車」対「クルマ」の事故の多くは交差点

交差点では、速度に気を付けながらも、クルマのドライバーにしっかりと自分の意思を伝えることが重要になります。
細街路や脇道の交差点に差し掛かる前に、安全に走行できる速度に落とし、ハンドサインを使って、後から来るクルマのドライバーに意思表示を行いましょう。基本となるのは次の3つです。しっかり覚えて実践しましょう。

出会い頭衝突死亡事故の当事者別・形態別事故件数比較

ポイントは、周りを走行するクルマのドライバーに自分の存在に気付いてもらうことが重要です。
ハンドルから手を離すことが難しければ、頭を少しだけでもドライバーの方に振って、とにかく、何らかのアクションを起こすことで、ドライバーに意思表示することを心がけましょう。事前に走り慣れた道路で練習することも大切です。

これから自転車通勤によって爽快にマインドスイッチを実践したいのに、交通事故にあってしまっては本末転倒です。 正しいハンドサインを習得し、実践することで、安全で気持ちの良い通勤サイクリングを楽しみましょう。