自転車を使った通勤は、単なる移動手段なのではありません。
日常の生活の中で、私たちの体だけでなく心にも多くのメリットを与えてくれるのです。
その中でもとくに注目したいのが“ストレス発散”効果です。
今、働く世代の中で、ストレスや気分障害が大きな問題になっているのは、ご存知の通りです。
ストレスがない毎日なんて想像できませんよね。
通勤サイクリングは、このストレスを、「通勤」という毎日必要となる時間を有意義に活用することで効率的に発散し、メンタルを整えることを目指します。通勤サイクリングは、ストレスを発散させ、仕事の効率化だけでなく、プライベートの充実をも図ることができる「マインドスイッチ」に最適な運動法なのです。
では、通勤サイクリングが、なぜ、マインドスイッチや気分の切り替えに最適なのかをご紹介していきましょう。
第一の理由は、通勤に自転車を取り入れるだけでよいという“はじめやすさ”です。
最初は、自宅から会社まででなくても、自宅から最寄り駅、最寄り駅から会社だってOK。
いつも駅までバスを使っていたら、まずはそこを自転車に置き換えてみましょう。
マインドをスイッチさせることが目的ですから、たとえ10分、15分と短くても、まったく問題ありません。 通勤の中で自転車に置き換えられるところを工夫して、さっそく取り入れてみましょう。
第二は、脚への負担を抑えて運動ができるという点です。 ジョギングやウォーキングでは、かかとやひざへの衝撃が大きくなる場合もありますが、 自転車はお尻をサドルで支えるなど、ガツンと来る衝撃が少ないので、足腰への衝撃を和らげることができます(図1)。 また、消費エネルギーも自転車なら普通に走る程度の速度(時速約15㎞)で、早歩きと同じくらいになるというデータもあります(図2)。
しばらく運動していないので「自信が無い」という方でも、はじめやすいのではないでしょうか。
※データ協力:常葉大学 星川秀利 准教授
※データ協力:名古屋市立大学大学院 髙石鉄雄 教授
そしてなんといっても、風を切る“爽快感”は、自転車ならではのものです。
たとえほんの少しの間でも、全身に風を浴びて自転車で走る感覚は、マインドスイッチに最適です。
あまり重いギアでガシガシ漕ぐのではなく、少し軽めのギアを選択し、クルクルとリズムよく、心地よさを目いっぱい感じてペダルを回してみましょう。
きっと、最高のリフレッシュになるはずです。
通勤サイクリングを実践している人の気分や心理状態は、一体どのようなものなのでしょうか?
週に約3回、片道13㎞ほどの通勤サイクリングを実施している人の気分の変化を調べたデータを紹介しましょう。
質問項目は、以下の5つです。
を各5段階で評価してもらいました。
※グラフ 出典:体力科学 第61巻 第2 号 251-258(2012)「東海地方における自転車通勤者の健康・体力レベルと通勤時の走行実態」
その結果、被験者は疲労感よりもむしろ爽快感を感じています。また、トレーニングの一環とは捉えておらず、気持ちよく通勤サイクリングを実施できていることが分かりました。これはスピード感や受ける風によって身体が冷やされることによって疲労感の軽減に繋がっている可能性があるようです。 気持ちよく実施できる通勤サイクリング、みなさんもぜひ体験してみてください!
※グラフ 出典:体力科学 第61巻 第2 号 251-258(2012)「東海地方における自転車通勤者の健康・体力レベルと通勤時の走行実態」
自転車は、もともと目的地へ手軽に移動する 一つの手段として利用されてきました。
これを「自転車通勤1.0」とすると、 近年、その利用価値は、単なる移動手段としての利用から、 時間や交通費の節約や満員電車の回避、 運動不足の解消を目的に利用される 「自転車通勤2.0」として広がりを見せてきました。
そして、今その利用価値は、「自転車通勤3.0」の時代へ。 自転車に乗ることで、メンタルコンディションを整え、 自分自身をイキイキとさせるための手段として 利用していくステージへ広がっていこうとしています。
自転車通勤をはじめることは、決して難しいことではありません。
通勤サイクリングをはじめるにあたって押さえておくポイントや最適な自転車の種類などをご紹介します!