シマノSIL-TECチェーンで手軽にバイクをアップグレード

バイクのチェーンはそれほど注目される部品では無いかもしれません。

しかしシマノのプレミアムグレードのチェーンには様々なテクノロジーや製造ノウハウが詰まっています。

チェーンはドライブトレインのスムーズな作動に重要な役割を果たす要素であり、同時に交換することによって最も手軽に大きな効果を感じやすい部品でもあります。

チェーン交換をする前にシマノの11スピード用チェーンにはどのような特徴や長所があるのか、またDURA-ACE、ULTEGRA、シマノ105シリーズのそれぞれのチェーンにどんな違いがあるのかをご紹介しましょう。
 

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チェーンの状態を確認する

まず初めにチェーンの摩耗について理解することが重要です。

距離を走るにつれてチェーンは摩耗しますが、この摩耗はカセットスプロケットやチェーンリングといった他のドライブトレインにも影響を及ぼし、変速性能の低下やノイズの発生などの不具合を引き起こします。

より交換コストの掛かるカセットスプロケットやチェーンリングにダメージを与えないためにもチェーンを適切なタイミングで交換することが必要になります。

 

チェーン交換の目安としては一般的には2,000マイル(約3,200km)走行毎にと言われることが多いですが、もちろん走行環境によって変わってきます。

チェーンの寿命を判断する手法としては「伸び」を見ると良いでしょう。チェーンは使用することでリベット部やローラー部が擦れ合って摩耗します。

チェーンの材質自体は「伸びる」訳では無いのですが、ピンや接合部分がすり減ることによって全体の長さが伸びてしまうのです。

そしてこの「伸び」はカセットスプロケットやチェーンリングを摩耗させることにも繋がります。

 

このチェーンの「伸び」を調べるには、シマノTL-CN42のようなチェーン伸びチェッカーを使うのが適切です。

ツールの一方の端をチェーンに挿し込み、もう一方の端の突起部をチェーンに向かって下ろします。

突起部がローラー部に当たって奥まで挿し込めなければチェーンはまだ使用できますが、二つのローラーの間に突起が収まってしまうようでしたら、そのチェーンは交換が必要です。

 

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シマノチェーン伸びチェッカー(TL-CN42)の使用例。このチェーンは伸びておらず使用できます。
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シマノチェーン伸びチェッカー(TL-CN42)の使用方法

 

伸び率の表示が付いたチェッカーを使う場合、数値が0.5を超えない、もしくはツールの突起部が二つのローラーの間に入らない状態であるならばチェーンはまだ使用可能な性能を保っていると言えるでしょう。

0.5から0.75の間にある場合はチェーンの交換が必要です。

もし0.75を超えているようでしたらチェーンの交換と合わせてカセットスプロケットやチェーンリングに大きな摩耗が無いかチェックし、必要に応じてそれらも交換してください。

 

シマノ SIL-TEC

次にDURA-ACE、ULTEGRA、シマノ105各グレードによるチェーンの違いを見てみましょう。

シマノSIL-TEC ― 聞きなれない言葉かもしれませんが、SIL-TEC加工はシマノが提供する超低摩擦表面処理です。

フッ素粒子によるコーティングがチェーンの滑らかな動作を長時間持続します。

 

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多くの特長を持つSIL-TECですが水や泥をはじく力に優れることも大きな特徴です。様々な状況下できれいでドライな状態を保つことでドライブトレインの効率やシフティングパフォーマンスを維持し、チェーンルブの効果も持続させます。

SIL-TECチェーンは通常の亜鉛ニッケルメッキチェーンと比べて約30%泥はけ性能に優れることがわかっています。

 

シマノSIL-TECチェーンはチェーンリングやカセットスプロケットの歯との接触をよりスムーズにすることで、ドライブトレイン全体としての抵抗を低減させる働きもします。

結果としてドライブトレインのパワー伝達効率をアップさせ、より早くより楽なライディングが可能となるのです。

 

特に厳しいコンディション下でのライドが多い場合、SIL-TEC加工はチェーンの長寿命化にも役立ちます。

そして走行時のスライド回転摩擦が約60%抑えられた結果、発生するノイズが2.7デシベル減少しています。

 

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DURA-ACE・ULTEGRA・シマノ105:グレードによる違い

最上位グレードであるDURA-ACEチェーンには、耐久性と効率を求めてアウターリンクとインナーリンクそれぞれのプレート部とローラー部にSIL-TEC加工が施されています。

中空ピンを使用することで軽量(約247g)、フロントとリアのシフティングに最適化された形状を持つインナープレートとアウタープレートを持ちドライブトレインからのノイズの発生を抑えることにも成功したシマノHG-X11テクノロジーを採用しています。

 

 

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ULTEGRAチェーンは約257gで、耐久性を上げるためにアウターリンクプレートとインナーリンクプレートにSIL-TEC加工を施しています。

DURA-ACEと同じくHG-X11テクノロジーを採用し、フロントとリアそれぞれのシフティングに最適化された左右非対称形状のプレートがスムーズで信頼性の高い変速性能を実現、優れた効率と静音性、高寿命を両立しています。

 

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コストパフォーマンスに優れたシマノ105チェーンもDURA-ACE、ULTEGRAと同じくHG-X11テクノロジーを採用。

インナーリンク表面にSIL-TEC加工を施し、正確なシフティングパフォーマンスと高い耐久性を備えています。

 

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スムーズで効率性の高いドライブトレインを維持するためには、チェーンの状態をチェックすることがまず第一歩となります。

定期的に適切なチェーン交換を行い、他のドライブトレインへのダメージを引き起こさないようにするのと同時に、パフォーマンスを向上させるシマノSIL-TECチェーンへのアップグレードを考えてみてはいかがでしょうか。

DURA-ACE、ULTEGRA、シマノ105、どのグレードのチェーンを選んだとしても、その優れたテクノロジーによる高寿命、高効率性にご満足いただけるはずです。

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CN-HG901-11

DURA-ACE

スーパーナローSIL-TEC HG-X11チェーン

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CN-HG701-11

ULTEGRA

スーパーナローSIL-TEC HG-X11チェーン

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CN-HG601-11

シマノ 105 

スーパーナローSIL-TEC HG-X11チェーン