交通費がかからない、満員電車のストレスが減る、運動不足を解消できるなど、自転車通勤によるメリットはいくつもありますが、自転車には用途や性能によって様々な種類があるので、どんなものを選べばいいのか迷ってしまうかもしれません。そこで本記事では、通勤に最適な自転車の種類と選び方をご紹介します。

自転車通勤におすすめの自転車の選び方

通勤用の自転車を選ぶ時のポイントを大きく分けると、走行距離、変速段数、予算、通勤以外で使うかどうかの4点です。

走行距離

走行距離によって選ぶべき自転車は異なります。勤務先までの距離が3〜5km以内ならシティサイクルやミニベロがおすすめ。すでにお持ちの自転車ではじめてみるのも一つの手です。5km以上の距離になると、多少アップダウンも出てくるので、長い距離を楽に走行できるクロスバイクがおすすめです。

変速段数

通勤距離が長かったり、アップダウンの多いエリアだと十分な変速段数を持っているかも大切なポイントです。自転車運動は風の抵抗やわずかな道路勾配の変化などで、身体にかかる負荷が大きくなります。そんな時に変速機をうまく使うことで負荷を軽減し、快適な自転車走行をつづけることができます。

予算

シティサイクルであれば2 ~3万円前後、ミニベロや折りたたみ自転車なら3万〜8万円、クロスバイクであれば5~12万円程度が相場です。クロスバイクには2〜3万円の安価なモデルもありますが、長く快適に付き合っていくなら最初からしっかりとしたモデルを購入することをおすすめします。

通勤以外でも使うかどうか

通勤だけでなく買い物や子供の送り迎えでも使用する場合、かごや荷台が欠かせません。重い荷物を載せても安定して走れるのは、重心が低く設計されているシティサイクルです。

自転車通勤におすすめな自転車の種類

通勤に適した自転車というのは、単純に性能や価格帯だけで決まるのではなく、通勤以外の利用意向や通勤経路の環境などによっても変わってきます。ここからは様々な車種の自転車を見ていきましょう。

ロードバイクとマウンテンバイクの良いとこ取りなクロスバイク

クロスバイクは、ロードバイクのような大きな車輪を備えているため、走行時の軽さやスピードに優れる点と、マウンテンバイクのように前傾姿勢が緩く、フラットなハンドルポジションで楽に走ることができる点を掛け合わせたハイブリッドな自転車です。砂利道の走行などはおすすめできませんが、坂道のアップダウンには十分に対応できます。フラットハンドルなので操作がしやすく、漕ぎ出しも安定しています。
価格はエントリーモデルで5万円前後から。末永く利用していくならそれ以上の予算を見積もっておきましょう。

移動距離が短いのならシティサイクル

シティサイクル(いわゆるママチャリ )は、日常使いとして最もポピュラーな自転車といえます。かごや泥除け、スタンドなどは標準装備されていて、跨がりやすく安定感があります。
体とハンドルまでの距離が近く、上体を起こしたままゆったりと乗れるのも特徴。その分風の抵抗が大きくなるため、長距離の走行には向いていません。
価格は2~3万円前後とリーズナブルですが、装備が充実するほど価格も上昇します。坂道が多い場合は変速機付きがおすすめ。最近では電動アシストバイクも価格が手ごろになってきて、選択肢として挙がってきていますね。

軽量タイプならミニベロ

ミニベロとは、車輪の大きさが20インチ以下の小径自転車を指します。見た目がスタイリッシュで小回りが利くほか、狭いスペースにも駐輪できます。一般的な自転車と比べると漕ぎ出しが軽く、また足着き性(地面への足の着きやすさ)も良いので、頻繁に信号や交差点で停止する都市部の走行に向いています。
カゴ付きのものからスポーティーなタイプまで種類が豊富で、デザイン性に優れたモデルも充実しており、若い女性から人気を集めています。
デメリットとしては、車輪が小さい分、段差などでの衝撃を感じやすいことや、前輪が安定しにくく長距離の走行には向かない点などが挙げられます。また、価格は3~8万円程度とシティサイクルよりもやや高めです。

路面状況が良好ならロードバイク

有名なツール・ド・フランスなどのロードレースで使用される競技用の自転車です。速さを重視しているためフレームが軽量でタイヤが細く、距離が15km以上の通勤距離でも楽に走れます。
変速段数は20段ほどあり、スピードに乗ったスポーツ走行や、道路のアップダウンにもしっかりと対応し、快適に走行することができます。タイヤが細い分、定期的にタイヤの空気圧を管理しないとパンクする可能性が高くなるので注意しましょう。
ハンドルはドロップハンドルで、他の種類の自転車よりも前傾姿勢がきつくなるため、慣れないうちは人によっては腰が痛くなるかもしれません。腰やお尻の痛みを軽減するためにも、購入時には販売店でしっかりとポジションセッティングをすることが大切です。価格はフレームの素材やパーツのグレードによって大きく幅があり、10万円前後~20万円が目安です。
荒れた道でも使用したい場合、グラベルロードという土や砂利道にも対応したロードバイクがあります。グラベルロードは通常のロードバイクよりもタイヤ幅が大きいのが特徴です。さらに、ディスクブレーキが搭載されているため悪路や濡れた道でも安定感を保って走行できるでしょう。

通勤にはクロスバイクがおすすめ!

ここまでご紹介した中から総合的に判断すると自転車通勤には、軽さ、スピード、長距離や悪路への対応力といったスペックをバランスよく備えたクロスバイクが最もおすすめです。カゴなどのパーツは装備されていないこともありますが、オプションで取り付けられるモデルもあるため、必要に応じてカスタマイズできます。
なお、実際に自転車を選ぶ際はできるだけ店頭で試乗し、足着き性やポジションなどを考慮することが大切です。特にスポーツタイプの自転車は細かく適応身長が設定されており、自分に合ったフレームサイズの自転車を選択することが快適走行のための重要なポイントです。また、購入後は大切な愛車に長く乗り続けられるよう、定期的なメンテナンスをしっかりとして行きましょう。

満員電車のストレスから解放されたり、運動不足の解消になったり、働く人にとってメリットの多い自転車通勤。通勤に向いている自転車は、勤務先までの距離や経路の環境によって人それぞれです。いろいろな条件を比較し、一番ニーズに合致する車種を選びましょう。