日々の通勤に自転車を使っているなら、ただ乗っていてはもったいない!自転車通勤を単なる移動手段からダイエットに変えるにはいくつかポイントがあります。運動強度を上げて、効率的なカロリー消費へ役立てましょう。この記事を読んで、今日からさっそく自転車通勤ダイエットをスタートしてください。

自転車通勤はダイエットにおすすめ?

「自転車通勤をしているけれど痩せない」という方はいませんか?それは、「運動」と意識して乗っていないからかもしれません。お散歩やショッピングで長く歩いても、ウォーキングと同じ効果が得られないのと同じです。

スポーツジムでよく見るバイクマシンは、有酸素運動をするためのものです。有酸素運動では、体脂肪がエネルギー源として効率よく燃焼されるため、ダイエットに効果的と言われています。クロスバイクなどのスポーツタイプの自転車は長い時間、有酸素運動を継続することに最適な自転車なのです。

通勤に毎日自転車を使っているのであれば、毎日決まった時間に決まった量の運動を往復で2セットできることになります。まずは、ジムでマシンに乗るように、「運動する」という自覚を強く持って乗ってみましょう。

とはいえ、体の使い方が悪かったり、短時間だったり、信号や坂道が多くて走行が安定しなかったりする場合は、効果的な運動にならない場合も。自転車通勤を運動として活用するには、いくつかのコツがあります。

自転車通勤でカロリーを消費するには?

自転車通勤で効率的に脂肪を燃焼させるのには、ただ速くこぎ、運動強度を高くすればよいわけではありません。脂肪が燃焼しやすい適度な運動の強さ=運動強度を維持することが大切です。

ハアハアと息が上がっている状態では運動強度が高すぎる状態になっており、酸素を必要としない無酸素運動の領域になっています。この領域では、実は効率よく脂肪を燃焼できていません。効率の良い脂肪燃焼には、息が軽く弾む程度の「中強度」の運動を、できるだけ長く続けることが秘訣なのです。

中強度の運動とは、医学的には「最大酸素摂取量の約50%の運動」と言われます。ただ、最大酸素摂取量といっても一般的に測定できるものではありません。そこで代わりに心拍数を、運動強度の指標として使用する方法があります。この指標は「カルボーネン法」と呼ばれる、次の計算方法で算出するものです。

(1)朝目覚めたら布団から出る前に平穏時の1分間の心拍数(安静時心拍数)を計ります。例えば、1分間に70拍とします。

(2)以下の計算式に自分の年齢をあてはめ、最大心拍数を推定します。40歳と仮定します。
最大心拍数=220-年齢(40)→180

(3)中強度の運動は50%なので、以下の計算式に(1)と(2)で求めた数値をあてはめて計算します。
((2)-(1))×50%+(1)=中強度運動のときの心拍数

では、例であげた数値を代入して計算してみましょう。
(180-70)×50%+70=125拍/分 

さらに、脂肪燃焼におすすめの運動強度は50~60%と言われるので、60%について試算すると136拍/分。つまり、1分間に125~136拍になるような運動が、脂肪燃焼=カロリー消費に最適と言えます。
(参照元:https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228740

時間については制限なく、長く続けるほどカロリーを消費します。かつては有酸素運動を20分以上継続的に行わないと脂肪燃焼に効果がないと言われましたが、現在では、適切な強度の運動であれば初めから脂肪がエネルギー源として使われるとされています。つまり、5~10分の短い時間でも毎日こまめに行うことで、確かな効果が期待できるのです。ただ、より効果を上げるためには、やはり20分以上継続することは大切です。

したがって、「毎日の自転車通勤」はこの条件にぴったりというわけです。上記のような細かな計算を毎日ストイックに実行する必要はありません。しかしたまに気が向いたときに計算し、実際の数値を出してみることで、ダイエットのモチベーションアップにつながります。

自転車の消費カロリーの計算方法

自転車でどれくらいのカロリーが消費されているか、おおよその値は計算式で求めることができます。厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」による消費カロリーの計算式は、次の通りです。

エネルギー消費量(kcal)=METs・時 × 体重(kg)

METs(メッツ)とは、身体活動の強さを表す単位で「安静時の何倍に相当するか」を表します。目安としては、安静に座っているだけの状態なら1METs、普通歩行なら3METsです。そこに時間を掛けたものがエネルギー消費量となります。

この指標で、基本的な運動の消費カロリーを比較してみましょう。ここで使うMETsの数値は、(独)国立健康・栄養研究所の改訂版「身体活動のメッツ(METs)表」に基づきます。体重50kgの人が運動した場合の数値を比較します。
(参照元:https://www.nibiohn.go.jp/files/2011mets.pdf)

自転車を、ほどほどの速さに調整しつつこぐ場合、METsは6.8。
20分続ければ113kcal、30分続ければ170kcal、1時間で340kcal消費します。

ウォーキングの場合、METsは4.8。
20分続ければ80kcal、30分続ければ120kcal、1時間で240kcal消費します。

ジョギングの場合はMETsが7.0。
20分続ければ117kcal、30分続ければ175kcal、1時間で350kcal消費します。

運動を意識しながら通勤目的で乗った場合、ウォーキングよりも効率的にカロリーを消費できることがわかります。

ほかにも、通勤サイクリングを続けた場合、1ヶ月や1年間で消費するカロリーなどがわかるシミュレーションもあります。ダイエットの効果を数値化することで目標が定まり、モチベーションも保てるので、大いに活用しましょう。
通勤サイクリングシミュレーション
https://bike.shimano.com/ja-jp/mindswitch/simulation/

自転車通勤でダイエットが上手くいかない理由

「自転車にたくさん乗っているのに、うまくカロリー消費されていない」と感じる方は多くいます。実は、ただ何となく自転車に乗っているだけではMETsの値自体も低くなり、ダイエット効果が出ないのです。きちんと「運動」と意識することを習慣化することが大切です。自転車に乗るときはいつも、おなかや足の筋肉を引き締め、筋肉の疲労や心拍数の向上を感じるよう、意識しましょう。

また、信号や人込み、坂道などで運動強度が安定しないことも、効果の上がらない一因でしょう。遠回りしても、平らである程度のスピードが安定して出せる道を通っていくのも、ダイエットとしてはよい方法です。

注意点として、うまく脚の筋肉が使えていると、筋肉がつき、その分体重が増えることもあります。その場合、決してダイエットに失敗しているわけではありません。適切なダイエットでは、筋肉が増えてから、脂肪が減るのです。つまり脚などについた筋肉分だけ一度重くなってから、脂肪をより多く消費する体がつくられるのです。そうして自然と、体重低下へつながっていきますので、一時的な体重増加に驚く必要はありません。継続がカギです。

自転車通勤でダイエットを成功させるには?

最後に、運動強度を上げ、より効果的にカロリー消費するポイントを紹介します。以下のポイントを意識して乗ってみましょう。

・背筋を伸ばし、体幹を意識して正しい姿勢をキープする
・サドルを少し高めにする
・可能であれば30分以上乗る

ただ、あまり難しく考えてもいけません。重要なことは、運動として楽しみ、毎日続けることです。ランニングやウォーキングとは異なり、自転車なら、街並みや風景のスムーズな変化を爽やかに感受できます。運動としてのコツをつかみつつ、長く継続していきましょう。

そして自転車に乗る前のひと手間で、効果を上げることもできます。できれば、食後1時間半以上は経過してから乗る、または空腹時に乗ることがおすすめです。さらに、自転車に乗る前に筋トレすると、より効果的に脂肪を燃焼できます。

毎日の通勤で自転車に乗っているなら、健康のためにもぜひ通勤自転車ダイエットに取り組みましょう。効果は条件によってそれぞれですが、意識の仕方1つで、脂肪燃焼の効率化へつながります。毎日楽しみながら、小さな努力をこつこつと積み重ねることが、ダイエット成功の秘訣です。