MTBハンドルバーセットアップ講座ー1
「ハンドルバーの形状と幅の選び方」

バンピーなシングルトラックや急な下り坂でのMTBライディングにおいて高い安定性とコントロール性を得るためには、しっかりと握ることができブレーキレバーやシフトレバーを操作しやすいハンドルバーポジションが非常に重要です。

しかし、あなたのライディングスタイルや体格、コックピット周りのセッティングに合わせて最適なハンドルバーを見つけることは決して簡単とは言えません。

このマウンテンバイクハンドルバーセットアップ講座ー1では、「あなたに合った適切なハンドルバーの形状や幅の選び方」
次回「セットアップ講座ー2」では「トレイルをより早くスムーズに走るためのブレーキレバーやシフトレバーのセッティング」について説明します。

 

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ハンドルの形状と幅

 

ハンドルバーの形状:アップスイープ、バックスイープとライズ

どのような形状と幅のバーを選ぶべきか。

そのためにまずMTBのハンドルバーについての基本知識を整理してみます。

ハンドルバーは操作しやすい快適なポジションと確実なコントロール性能を得られるように設計されており、その形状は次の3つの要素によって説明することができます。

バックスイープ、アップスイープ、そしてライズです。

 

バックスイープはハンドルバーがあなたの体の方向、手前側にどれだけ曲がっているかを、アップスイープはバイクを正面から見た際、バー中央部から両端に向かってどれだけ上方向に曲がっているかを表します。

MTBハンドルバーでは7~9度のバックスイープ、4~6度のアップスイープを持つものが一般的です。

ライズはバー中央部に対しバー両端が垂直方向にどれだけ上がっているかの寸法を表し、高さを得るという意味ではステム下側にスペーサーを入れるのと基本的に同じ意味を持ちます。

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自分の好みやポジションに合ったハンドルバーを選ぶにあたり、バイクに跨った際のコクピット周りの高さを確認してみてください。

低すぎると感じる場合は、より上半身が立ち上がったポジションを得られるよう、ライズの大きいライザーバーを試してみるのが良いでしょう。

逆に高すぎると感じた場合は、ライズの無いフラットなバーを試してみましょう。

セットアップの好みはライダーによって様々なので、自分に合ったバーが見つかるまで色々なタイプを使ってみることも大切です。

一般的にクロスカントリーライダー・レーサーはフラットバーを、トレイル・グラビティ系ライダーはライザーバーを選ぶことが多いですが、これはハンドルバー位置が高い方が上半身が起き上がったポジションを取りやすく、急な下り斜面をより確実に安定してライディングできることが理由です。

 

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ハンドル幅:ワイドバーのメリット

近年のMTBシーンにおいては、てこの原理でより力を伝えやすく高いコントロール性能が得られるとされるワイドなハンドルバーが主流となっています。

しかし、ここでも適切なハンドル幅はライダーの好みやライディングスタイルによって変わってくるということを考える必要があります。

「あなたが主にどんな場所を走るのかも考慮に入れてみてください」

エリートクラスのエンデューロレーサーでもあるシマノのマーケティング担当 Joe Lawwill はこう語ります。
 

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「経験上、私はバイクの種類と主にどこを走るかによってハンドル幅を決めています。

立ち木が多く狭いシングルトラックを主に走るのであれば、障害物から手を守るためにもいくぶん狭めのバーを使います。

幅の広いバーはより力を伝えやすく繊細なコントロール性に優れるので、比較的車体重量がありライディングの速度域が高いエンデューロバイクに組み合わせることで効果を発揮します

逆に、軽量でヘッドアングルが立ったクロスカントリーバイクにワイドなバーを組み合わせてしまうと、あまりにハンドリングがシビアになり過ぎて完全に逆効果ということも起こり得ます」

 

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ただ、もしどのくらいの幅が良いのかわからない場合でも安心してください。

ほとんどのハンドルバーは両端をカットして長さを調節することが可能なので、自分に合ったハンドル幅が見つかるまで気長にトライしてみるのも良いでしょう。

(※ハンドルバーのカットについては各製品の取扱説明書を御確認ください)

 


多様なハンドルバーをラインアップするPRO

ここまでMTBハンドルバーの形状と幅について基本的な事項を説明してきました。

続いて実際にPROのハンドルバーラインアップについてご紹介します。

PROでは材質(カーボン・アルミ)、主な用途(トレイル・XC)、クランプ径(31.8㎜・35㎜)、ライズ量(フラット・ローライズ・ハイライズ)等の違いで幅広いラインアップを展開しており、いくつかのモデルではDI2電動変速システムに対応した設計を採用しています。

 

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主要モデルではトレイル・エンデューロ系ライザーバーでは800㎜、XC系フラットバーでは700~740㎜のハンドル幅で展開。

タルシスXCフラットトップバーDI2(商品コード:R20RHA0262X)では、軽量高強度のUDカーボンを採用し720㎜幅で162g、T800カーボンを使用した800㎜幅・20㎜ライズ・35㎜クランプのタルシスカーボンライザーバー20(商品コード:R20RHA0435X)でも198gという軽さを誇ります。
 

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あなたの体型やライディングスタイルに合ったハンドルバーを選ぶことができたら、次のステップはコックピット周りのセットアップです。

次回、セットアップ講座ー2ではバイクコントロールのカギとなるレバー類のセッティングについて説明します。

 

PROハンドルバーの詳細についてはPROデジタルカタログをご覧ください。