何かとストレスの多い現代社会。ストレスコントロールには適度な運動が最適です。忙しくて運動する時間が取れないという方は、自転車通勤にしてみてはいかがでしょうか。自転車通勤は気持ちの切り替えやストレスコントロールに効果があるということがわかっています。
今回は、自転車通勤がメンタルに与える影響について、研究結果を踏まえて解説します。自転車通勤には仕事に対しても前向きになれるプラスの効果があるので、運動したい人、自転車通勤を検討している人は必見です!
現代人はストレスにさらされている
現代人はどんなストレスと戦っているのでしょうか。ストレスの原因と、ストレス解消のためにできることを考えてみましょう。
ストレスの原因
2008年に内閣府が実施した国民生活好選度調査によると、ストレスの3大原因は「収入や家計」「仕事や勉強」「職場や学校における人間関係」となっています。このほかにも「健康状態」「家族関係」などが続きます。このことから、現代人は日常生活のさまざまな場面でストレスを感じていることがわかります。
ストレスをためないために
上記の調査結果でも、ストレスを感じているのは30~40代の働き盛りの世代に多いと報告されています。また、ストレスを抱えていると仕事の効率が下がるばかりでなく、健康にまで影響してしまう可能性もあるのです。
一方で、収入や人間関係など多くの現代人が抱えているストレスはすぐに解消されるものではないので、ストレスを上手に発散できる習慣をつけておくことが大切ですね。
ストレスに強い脳をつくる
『脳の神経細胞は、加齢と共にどんどん失われていくだけ』と思っていませんか? 実は近年の研究によって、年齢に関わらず運動をすることで脳の一部では筋肉のように肥大しうることが明らかになってきているのです。筋肉と同じように脳は運動で鍛えられるのです。
海馬の発達を促すことは、ストレスに強い脳をつくることにつながる
『海馬』において神経細胞が新生し、記憶能(特に空間記憶能)が向上することが動物研究から明らかになっています。人でも1年近く中強度のエアロビクス運動を行うことで海馬が肥大し、記憶能が高まることがわかりました。海馬はストレスや鬱で萎縮することから、その発達を促すことは、ストレスに強い脳をつくることにつながると考えられています。
認知機能全般を担う前頭葉は、中強度の運動により活性化する
霊長類や人で大きく発達し、認知機能全般を担う前頭葉(特に前頭前野)も中強度の運動により活性化し、注意力、集中力、判断力などの実行機能(認知機能の一つ)が高まることが知られています。
この運動効果は、中強度のややキツイと感じる程度で得られるのですが、筑波大学の研究グループが「低強度の運動でも脳の活性化につながるのではないか」と着目。「高齢者や運動習慣のない人にも実行しやすい軽運動で脳の働きが高まれば、認知症やうつ病の効果的な予防につながる」と実験を進めました。
実験は25名の健常な若年層を対象に、実行機能をみる代表的な認知課題『ストループテスト』によって行われました。その結果、10分間の運動を行ったグループで実行機能を支配する脳が活性化し、認知課題成績が向上したのです。
1日10分の運動でも脳が活性化
1日10分の軽い運動でも、脳の中で注意力・集中力・判断力などをコントロールしている部分が活性化するという研究もあります。25名の被検者を対象に1日10分の軽いペダリング運動をした後に認知機能を測るテストをしたところ、10分の運動をしただけで脳が活性化され、テストの成績が向上しました。これは例え軽い運動であっても、高齢者であれば認知症の予防、ビジネスパーソンであれば仕事の生産性向上などが期待できる結果だと言えるでしょう。
参考:「Cyclingood vol.04」~有酸素運動としての自転車が、心を解放する理由。~
自転車通勤のメリット
運動の中でも、自転車通勤は継続しやすく取り入れやすいのでストレスコントロールにおすすめです。自転車通勤には、次のようなメリットがあります。
通勤のストレスが軽減される
満員電車や道路の渋滞でなかなか動かない車などは、通勤時のストレスになりやすいですよね。自転車は自由度の高く自分でコントロールできる乗り物なので、他の通勤手段と比較して通勤時のストレスが軽減されます。
運動を習慣化しやすい
「健康のためにジムに行って運動をしよう!」と思っても、なかなか続かない人もいますよね。今まであまり運動をしていなかった人が、急に運動習慣を作ろうと思っても継続は難しいのです。一方で、通勤手段を自転車にすれば運動を習慣化しやすいので、誰でも手軽に始められるというメリットがあります。
一つのことに集中できる
ネットやスマホの普及により、現代人はいつでもどこでも仕事したり他人とつながったりできるようになりました。便利な一方で、現代人の日常生活はマルチタスクになりやすいとも言えます。自転車に乗っているときは自転車の運転だけに集中できるので、注意力がコントロールされます。ストレスの解消法として瞑想が注目されているのと同じで、自転車はマインドフルネスと同じ効果があるのでは、とも考えられています。
自転車通勤による気持ちの変化
町役場の職員の方19名を対象に自転車通勤2か月目と4か月目の心境の変化に関するアンケート調査を実施した結果、自転車通勤4か月目は2か月目と比較して疲労感はダウン、仕事の効率が向上したという回答が得られました。さらに身体と精神的な変化を感じる傾向があり、自転車通勤が前向きな気持ちにさせたことがわかります。
参考:「Cyclingood vol.04」~ついつい付きまとうやっかいな「ストレス」。 気持ちをいい状態に切り替える有効な方法とは?~
自転車通勤で気持ちの切り替えがスムーズに
都内に住む10名の会社員と対象に、自転車通勤した日としなかった日の心理データを記録した実験も行いました。特に注目すべきなのが自転車通勤の有無による落ち着き度とやる気度の変化です。自転車通勤した日は出社時に落ち着き度とやる気度が高く、さらに自転車で帰宅すると落ち着き度が高い状態であることがわかりました。つまり仕事前は前向きでイキイキとした状態、帰宅時は心がリラックスした状態になっており、自転車通勤が気持ちの切り替えをスムーズにさせたことを示しています。
参考:「Cyclingood vol.04」~ついつい付きまとうやっかいな「ストレス」。 気持ちをいい状態に切り替える有効な方法とは?~
まとめ
ストレスのコントロールには適度な運動が最適です。中でも自転車通勤は、誰でも手軽に取り組めて習慣化しやすいのでおすすめの方法です。自転車通勤は気持ちを前向きにして仕事の生産性を向上させ、なおかつリラックス効果もあります。ストレスを軽減させるためにも、自転車通勤を始めてみてはいかがでしょうか。
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