走り抜けたい気持ちにブレーキを。交差点での事故を避ける方法。

あなたは今、自転車で車道の左側を走っています。もうすぐ信号のない交差点に差し掛かります。さて、交差点の手前で減速をしてクルマが来ていないか確認しますか?それともそのまま止まらずに走り抜けてしまいますか?

自転車とクルマの出合い頭事故は、信号のある交差点が3割、信号のない交差点が7割の割合で起きています。信号のない交差点で圧倒的に事故が多い理由は何でしょう?その内訳をこのグラフで表しています。

クルマは「確認したが見落とした」が48%、自転車は「安全確認しなかった」が47%でそれぞれ最も多くなっています。信号のない交差点、つまり止まる強制力の低い場所では、クルマは「こちらが優先」という意識が強く、確認や判断が甘くなりがちだと考えられます。

一方自転車も「クルマが来ない」という勝手な思い込みで走り抜けてしまい、衝突してしまう…ということに。つい「止まるのが面倒」とばかりに交差点を走り抜けてしまいがちですが、気持ちにも自転車にもブレーキをかけて、事故につながるリスクを軽減させなければいけません。車道ではクルマと同じ左側を走り、交差点の手前ではいったん停止して左右の安全を確認することが、事故に遭わない最善の方法です。

スマホの“ながら”より、風景や季節を感じ“ながら”走ろう

自転車で走行中、携帯電話がブルブルと鳴ったらあなたはどうしますか?気になるのでそのまま携帯電話を取り出し、話しながら走行しますか?それとも一旦自転車を止めてから電話に出ますか?

携帯電話で話しながら、あるいはメールをしながら自転車に乗ることは罰金や懲役に科される行為です。携帯電話に気を取られている状態は注意力が散漫になり、周囲が見えていないため、後ろからクルマが近づいている、あるいは後ろから追い抜こうとしている自転車の進路を妨げて衝突を招くなど、事故につながる可能性が大。

実際、携帯電話を使用しながら自転車に乗っていた高校生が女性の背後から衝突し、5000万円の損害賠償の支払いを命じられた例もあるのです。どうしても電話に出なければいけないときは「止まってから」を徹底するようにしましょう。

ながら運転の対象は携帯電話だけではありません。イヤホンで音楽を聴きながら、片手で傘をさしながらの走行も注意力や集中力を妨げる要因となるため、避けなければいけません。

携帯電話を見ながらよりも、音楽を聴きながらよりも、まわりの風景やその場の空気感、季節を“感じながら”の運転に変えていきましょう。

ドライバーへの意思表示で進路変更を安全に。スムーズに。

自転車は車道を走行することが原則となっていますが、車道の路肩や最近増えてきている自転車レーン・ナビラインを走行中、停車しているクルマに進行を妨げられて困った、という経験をしたことがありませんか?

こういう場合、特に注意したいのが自転車レーンや路肩に駐車しているクルマを避けるためにレーンをはみ出す際の走行中のクルマと接触事故。もちろん自転車ナビライン上の場合、ここに駐車していることも問題ですが、自転車側の「後ろからクルマは来ていないだろう」という思い込みと確認不足も事故を招く原因になっています。実際、交通事故総合分析センター発表のデータでも自転車事故による死傷事故原因の1位は「安全不確認」。

走行が妨げられている状況に気づいたら、まず減速をして目視で車道のクルマを確認し、ハンドサインやドライバーとのアイコンタクトなどで意思表示をし、進路変更を行いましょう。クルマが先行していれば一旦停止をして、安全確認をした上で発進しなければなりません。前述のスマホやイヤホンの「ながら運転」により、加害者になるケースも増えています。事故を起こしてからでは取り返しのつかないことになると意識を改め、走行に集中するようにしましょう。


せっかくの気持ちの良い季節です。五感を研ぎ澄ませて、自然や風、春の訪れを感じながら、安全にサイクリングを楽しみましょう。