痩せている女性が増えている?!

肥満や痩せを判断する基準として使われるBMI指数。体重【kg】を身長【m】の二乗で割った指数が国際的に使われています。BMIが18.5未満であれば低体重、つまり痩せていると見なされます。日本の調査で約30年前にはBMI18.5未満の20代女性が10人に1人程度だったところ、現在は4~5人に1人の割合に。つまり、以前に比べて痩せている人がおよそ2倍に増えている計算になります。ところが、このBMI指数、筋肉と脂肪の量と関係なくはじき出されてしまうので注意が必要です。

筋肉も脂肪も少ない女性が増加傾向に

人間の身体は、筋肉と脂肪が体重の約6割を占めています。いまの若い女性は筋肉も脂肪も少ないため、低体重傾向にあります。特に痩せたい意識の高い女性は筋肉をつけたくない人も多いでしょう。若いうちは筋肉量が少なくても脂肪量も少ないので問題になりにくいの ですが、筋肉が少ないまま年をとるとどうなってしまうのでしょう?

筋肉量が少ないまま年をとると?

およそ40代を境に脂肪は増え、筋肉量は減少していきます。特にふくらはぎや太もも、お尻などの立っているときによく使う「抗重力筋」と、瞬間的に力を発揮する「速筋線維(そっきんせんい)」という筋細胞の減少が目立ち、老化が加速する可能性があります。身体を支える筋肉が減り、瞬発力がない状態になると、転倒しやすくなるなど要介護となるリスクが高まります。

つまり、20代なのに50~60代レベルの筋肉量や体力しかない人がそのまま年をとったら、同世代の人よりも早く老化が進んでしまうかもしれないのです。階段を使ったり歩く距離を伸ばしたりという生活活動に加え、たまには息が上がるくらいの少しキツめの運動を取り入れておくことで筋肉は鍛えられ、それが健康的で美しい身体を長期的に維持できる基盤になります。「いま痩せていればいい」という短絡的な意識より、「ずっと美しくいるためにはどうすればいいか」という長期的な視点で自分の身体と向き合うことが大切です。

「冷え」と筋肉量の関係

病気ではないけど体調がすぐれないという状態の多くには、自律神経系の不調が影響していると考えられています。実は、自律神経系の働きを保つには、運動がとても重要。運動をすると筋肉などからさまざまな種類のホルモンが分泌され、これらは血流に乗って全身に行き渡ります。筋肉量が少ないと筋肉からのホルモンの分泌量は減り、自律神経系の働きにも影響を及ぼすと考えられます。例えば女性に多い「冷え」。冬でも夏でもエアコンで温度が一定に保たれることの多い状況では、身体が自ら体温調節をしなくていいため自律神経系の働きが鈍くなり、さらに筋肉量が少ないと熱があまり産生されないので「ずっと冷えたまま」となってしまうのです。

効率的に筋肉量を増やそう!

筋肉量を増やすには、大きな筋肉に働きかける方が効率的です。人の身体で最も大きな筋肉はお尻太もも。いま、痩せている若い女性のどこの筋肉が顕著に少ないかご存知ですか?実は太ももの前側なのです。太ももの前側は、加齢によって減少しやすく、椅子から立ち上がる、階段を上るという日常生活動作に大きく関わる部位です。

この大きな筋肉を特に鍛えられるのが、自転車です。自転車運動はウォーキングよりもこの筋肉をよく使うため、体力に自信のない女性でもラクで効率的に筋肉をつけられるでしょう 。

筋肉が増えたら足が太くなる?

それはよくある誤解です。筋肉と脂肪が同じ重さの場合、筋肉の方が体積では小さいのです。運動をして太ももの筋肉を鍛える場合は、ただ筋肉がついて脚が太くなるのではなく、いまある脂肪が減って筋肉がつくので、体重に変化がない場合はかえって締まって見えるでしょう。競輪選手のような太ももにはそう簡単にはなりません(笑)。

自転車運動のメリット

自転車運動はウォーキングなどと比べてより多くの風を受けます。この風、特に夏場は女性の味方になるのです。自転車に乗って風を受けると、汗はすぐに気化して、体温を下げてくれます。これによって熱中症のリスクが下がり、また汗がダラダラと流れる不快感も軽減されるのです。ほかの運動に比べて爽快感が続くので、無理なく続けられることでしょう。

大きな筋肉を意識しながら、効率よく筋力アップを目指しましょう。数年後、数十年後の自分のために!