現代社会を生き抜くビジネスパーソン。ついオーバーワーキングな日々に慣れてしまっていませんか?仕事で休めない状態が続いても、やりきろうとしてしまう。これから年末に向けて特に根を詰める時期、ストレスや睡眠不足もそのままに、つい頑張りすぎてしまう場面もしばしば。仕事に忙殺される生活、それは決して美徳ではありません。むしろじりじりと身体を “サビさせている” かも!?

かといって目の前の仕事を放りだすわけにもいきませんよね。ここは「上手に休んでパフォーマンスをあげる」ことに目を向ける必要がありそうです。

身体が “サビる” ということ

人は誰しも老いていく。それは自然の摂理で、ごく当たり前のことです。とはいえ年齢以上に老化が進むのは避けたいというのが多くの人の本音。エネルギッシュに働くためにも、ビジネスパーソンこそ、いつまでも若々しくありたいものです。

アンチエイジングの話になると、よく効くワードが「抗酸化」。身体のサビを防ぐということですが、そもそも身体がサビるとはどういう状態なのでしょうか?

りんごを切って放置していると茶色く「酸化」していく。
同じ現象が身体にも起きている!?

仕事が忙しくて休めない、実はこんな状況こそが身体のサビを作り出しています。ストレスをためる、疲れをためる、こういった状況が生み出すものは「活性酸素」。アンチエイジングに関連して耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

身体のサビの原因は “活性酸素” だった

人間はエネルギーを作るために、炭水化物や脂肪酸などを燃やしています。そのとき、すべての細胞が必要とするものが、呼吸によって供給される酸素です。そして酸素を使ったときに副産物として発生するのが「活性酸素」。

活性酸素の量が増えすぎてしまうと、タンパクや脂質など細胞内の重要な部品が傷つけられ、酸化された状態になります。この細胞が酸化した状態=「サビている」身体ということ。

疲れやすくなったり、ひいてはさまざまな疾患につながる要因となります。

傷ついた細胞が修復できないと、慢性的に炎症物質が発生します。

その結果、倦怠感や意欲の喪失、痛みを抱えた状態など心身の不調を招き、それがあらゆる疾患へとつながりやすくなります。

代表的な疾患は、糖尿病などの生活習慣病。
もっと言うと、がん*以外の疾患については、そのほとんどが増えすぎた活性酸素の処理能力低下が影響していると言えます。

*)がんは活性酸素以外の要因として細胞の変異に起因することがあり、必ずしも細胞の酸化だけが原因ではないと言われている。

サビのサイン

自分の酸化度合いを知ることはなかなか難しいですが、身体がサビた状態が続くと、まず疲れが抜けない感覚になります。さらに関節が動きにくい、膝が痛むなどの不具合を感じたら酸化が進んでいるサイン。日頃から自分の身体に意識を向けておくことが大切です。

▶理化学研究所の渡辺先生に教えて頂く「サビ」のメカニズムはこちらから

→「「からだがサビる」正体とは?

サビないために!自転車通勤と上手な休日の過ごし方

細胞が修復できない要因には、生活環境が大きく関係します。睡眠不足や栄養不足、ストレスなどが絡み合い、さらにオーバーワークの環境に慣れてしまう。「疲れが取れない」「不調が続く」という状況からずっと抜け出せない「負のスパイラル」にいつの間にかはまりこんでいるかもしれません。

限りある時間で、好調な状態をキープする。オン・オフともにセルフマネジメントが必要のようだ。

身体をサビさせないためには、活性酸素の処理能力が低下した状況を長引かせないことが大事。身体の中の細胞の働きを自分で確認することはできませんが、自分が今疲れを感じているか、どこかに痛みを感じるかというセルフチェックを意識的に行い、食事や休息をきちんと取り入れることがとても重要になります。

息があがらない自転車通勤で老廃物を排出

軽い有酸素運動は、不要になった細胞の物質を血液中から老廃物として排出して処理する効果が望めます。これはもちろん、抗酸化につながると考えることができます。

なかでも注目したいのは「息があがらない程度」の有酸素運動という点。キツイ運動を長時間行えば、当然ながら疲れます。これは筋肉細胞の疲労でもあり、修復には相応の栄養や時間が必要になります。”抗酸化” の観点でいえば、アスリートでない限り、軽めの運動で十分なのです。

運動習慣がない人が高強度の運動を長時間行えば、それは当然オーバートレーニングに。

自転車にはさらに違った利点があります。実は普段歩いているときでさえ、私たちの脳内では絶妙なバランスが保たれています。自転車になると、よりバランスを取る難易度はあがります。

加えて走行中には周辺環境や走るルートなど、無意識に思考を巡らせています。つまり筋肉だけでなく、脳の細胞も活性化された状態と言えます。

時間が限られているビジネスパーソンには、運動をしようと無理に時間を捻出するほうがストレスに。今の通勤時間を運動にかえてみましょう。

理想的な運動習慣は週3日、1日1時間以上と、毎日でなくてもOK!無理せずスタートできそうです。

ペダリングと呼吸のリズムを合わせると、自律神経にゆらぎが生まれ、”気持ちいい” という感覚につながります。

自分にとっての心地いいレベルを見つけて習慣化することで、抗酸化と体力向上の相乗効果が期待できそうです。

休むのがうまくなる。アクティブレスト(積極的休養)という考え方

忙しい1週間、休日はとにかくゆっくりしたい。疲れをとろうと、寝ころんだまま過ごして休んだつもりでも、月曜日からなんだか身体の重さがとれてないといった経験はありませんか?実は休養には、「パッシブレスト(消極的休養)」と「アクティブレスト(積極的休養)」の2種類があり、組み合わせることが大事になってきます。

理想的なオフの過ごし方

軽い運動をアクティブレスト(積極的休養)として捉え、疲労を回復させるという考え方があります。例えば普段からデスクワークなどの同じ姿勢で仕事をする人にとって、軽く身体を動かすことは、精神的にも身体的にも疲労回復につながりやすいと言われています。

週末の休みなら、土曜は午前中に少し身体を動かすために、いつも走らないルートを軽くサイクリングしてみる。散歩のような感覚で、ブランチができるお店にバッタリ出会うことを目標に、ちょっとした探検の気分も含めてペダルを漕いでみる。そんな過ごし方でも立派なアクティブレスト(積極的休養)となります。

いっぽう、日曜は身体を休めるパッシブレスト(消極的休養)を意識します。家でゆっくりDVDを見たり、長めのお風呂に入ってみたり。もちろん土日を逆にしてもOK。

1週間の休みのうち、軽い運動を取り入れた方が日々の疲れをリセットでき、気持ちがスッキリして「疲れを溜めない」身体をつくることができるのです。疲れないようにするのではなく、疲れをためず、都度リセットして回復する「リカバリー能力」が大切と言えます。

通勤時間も休日も、非日常空間でリフレッシュ

軽い運動は、細胞からの不要な老廃物を排出するだけでなく、仕事を離れた非日常の時間を提供し、心身をリフレッシュさせるためにも有効です。「気持ちいい」「スッキリした」「達成感がある」という充足もまた、ストレスや疲れを軽減させ、前向きな気持ちというエネルギーを与えてくれます。

抗酸化のためには、細胞を修復できる「力」をつけることが一番。軽い自転車運動と上手な休日マネジメントで、いつまでも元気に若々しく働ける身体を維持していきましょう。